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私小説 from left to right (新潮文庫)私小説 from left to right (新潮文庫)
(1998/09)
水村 美苗

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紹介されて読んだ本
今まで読んだことがないタイプの本だった。
かなり自分の中で衝撃だった本。

ある意味ネタバレ

とても正直、そしてある意味シンプルにも感じた小説。
水村美苗のタイトル通り“私小説”
12歳の時、家族と一緒にアメリカへ。
日本に恋いこがれ彼女は鬱々と毎日を過ごしてる。
この話は彼女の姉、奈苗との電話での会話のやりとりで進んでいく。

彼女のあまりにストレートな感情が私にとってすごく衝撃的だった。
刺激的。密度の濃い世界。読み進めるたびにこの小説に浸っていく印象を受ける。
そして、そういう世界があるのだと、考えもあるのかと思った。
でもこれは単なる現実の、過去の話じゃないらしいのです。

そう、一番衝撃的なのは、これだけエッセー的であり、
タイトル通りまさしく私小説だけれど、
彼女の姉は実在していないということ。(らしい)

だってこの話は姉がいなければ成り立たない。
エッセーや私小説(違いはよくわからないけど)は確かに脚色はあるらしいけど、
この話はそもそも姉がいなければ全く成り立たない話なんです。脚色とかそんなレベルじゃない。根源的なところに姉がいるんです。
けど実在していない以上、これは小説。
文学好きの人に言わせると、
つまり実在しない姉を出して「小説」として出したこの本には、
文学として彼女が何かを伝えようと意図しているのではないか?という話になるらしい。
確かに彼女がこれだけ日本文学に傾倒しているのだから
ただ単純に書いたのではなくて、その裏に、彼女が感じる文学を現そうと
そういう試行錯誤があるのかなとも思う。
何より彼女が文学に何者にも堪え難いほど傾倒しているのがわかるんですが、
その上で、タイトルに「私小説」なんてつけてしまっているのも何とも挑戦的。すごいな。
いや、彼女にとってはごく自然のことだったかな。

私は日本文学、というより文学について端っこも知らないような人間だから
そんな深く読み込んだことはないけど、
そういう読み方、表現の仕方もあるんだな~とびっくり。
なにより、純粋にこの密度の話で姉が実はいないと聞かされたら衝撃を受ける。
だってこの話には姉は必要不可欠な存在だから。
水村美苗という人に、強い関心を覚える小説でもあった。
内容も、この事実もあわせて言葉に表せない衝撃を受けた本でした。

この小説を読んだことがある人は、ぜひ、
姉が実在していないということを思いながら読んでみると
印象が全く変わってくるのではないかと思います。
文学って深いなぁ
2008.07.03 / /
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